迷探偵岡目八目氏著
「電信柱についた歯型の謎・第一部 発見者の謎」


はじめに

基本的に、たっぷさん作「一ダースは多すぎる」の物語世界を踏襲しています。

ここで描かれていることを予備知識にしている部分もありますので、この贋作展覧会大賞作品をご一読いただいて、お読みいただけると幸いです(はやみねHP・Ver.3に格納されています)。


 「プロローグ:はやみねかおる先生からの挑戦状」

はやみねかおるから、探偵岡目八目さんに挑戦します!

『電柱のてっぺんについてる歯形の謎』…を推理してください。

誰がなんのために、つけたのか?そもそも、誰が見つけたのか?

鮮やかな謎解きを、お待ちしています。


◆ プロローグ

ぼく、勇嶺琢人。どこにでもいるような、中学2年生だよ。

 ちょっと違うのは、父さんがちょっとした有名人だってことかな。作家でもあるんだ。みんな、すごいすごいって言うけれど、ぼくにとっては、ふつうの父さんなんだけれどね。それに、すごいと思うことより、大変なことのほうが多いんだ。原稿の催促にやってくる編集さんならいいけれど(父さんは、それが一番困るみたいだけど、みんないい人ばかりだよ)、いわゆる「おっかけ」の人には注意しないといけない。「父さんの友達」と言って、ぼくに家を案内させようとするから。他にも、いろいろ変な人も来るんだけど、これはまあ、場所柄、仕方がないかな。

 今日、学校から帰ると、自宅近くで、目つきのするどい男2人が、電信柱のあたりをうろうろしているんだ。きっと、性質の悪いおっかけだな。教授の住む洋館の前を通り過ぎようとしたとき、その1人が声をかけてきた。

「ちょっと、坊や。君、ここの家の子かい?」

 ムッとした。父さんは、いつも言う。礼儀には礼儀を、って。こんな奴ら、まともに相手ができるか。

「おっさんに答えなきゃいけないいわれはないね」

 若い男のほうが、舌打ちをして近づいてくる。

「まったく、最近の子供は礼儀を知らないな」

「礼儀を知らない馬鹿に、礼儀正しくする子供がこの世にいたら、気持ち悪いよ。とっとと帰って」

「坊や、まったく口の聞き方を知らないんだねえ・・・」

 その男は、近寄る足を速め、肩をつかもうとしてきた。なんて奴。本気でやっつけることにした。ぼくには、格闘のセンスがあり(学生時代に空手をやっていて、とても強い父さんの顔面に、とても小さかったぼくは、パンチを入れたことがあるらしいんだ。ぼくは覚えていないけど)、しかも日々鍛えられているから、よほど強い人にも負けない。「女性と弱い人には優しく」しなきゃいけないけど、体格のいい大人2人を相手にするなら、問題ないよね。

 ぼくは、左肩をつかんだ相手の右手首をしっかりと極め、背中に回る。極めた手首をひねりながら、更に肘の関節を極め、体重を上からかける。男は、悲鳴をあげながら倒れた。関節を極めてしまえば、体格の大小、力の強弱は関係ないからね。右手を背中に回させて、左足で固定する。そうしておいて、左手でそいつの髪の毛を掴み、そいつがさっきまで立っていた場所に向けさせた。

「道路で、煙草の吸殻を山のように捨てて平気な顔をしているあんたに、礼儀を知らないなんて言われるいわれはないね! それに、中学生をつかまえて『坊や』という気持ちの悪いおっさん相手に、自分の家がどこかを教えるほどの間抜けじゃないよ!」

「このガキャ・・・」

「なんだって?!」

「あいてててててててて!」

「無礼なオヤジには、体で正しい言葉遣いを覚えてもらおうか。それとも、この右肘、折ってあげないと分からない?」

 すると、もう1人の中年の男は、黙ってその吸殻を広い、ハンカチに包んでコートのポケットに入れた。それから、ゆっくり近づいてくる。

「君、なかなかいいことをいうね。感心したよ」

「褒めてもらうほどのことじゃありませんよ。それより、とっととこの通りからいなくなってください」

「仲間を置いて、立ち去るわけにはいかないな、残念ながら。仕事も残っているし」

 そういうと、右手を上着の内ポケットに入れた。

 刃物?

 ぼくは、左足を軸にして右足を引き、半身に構えると、ジャンパーを脱いで備えた。ところが、男が懐から取り出したのは、黒革の手帳。え?

 金文字で「警視庁」と入っている・・・

「私は、警視庁の、上越警部だ」

「上越警部というと、父さんの知り合いの・・・ うわ、失礼しました!」

 あわてて気をつけをしてお辞儀をしたら、下の男がまた悲鳴を上げた。そうすると、もしかすると、この人も刑事さんなの?

 上越警部は笑いながら、

「放してやってくれないか。その男は、私の部下で、速水警部補というんだ」

 うわー、やっちゃった。

「ごめんなさい」

 足を抜いて、速水警部補を自由にしてあげた。警部補は、「まいったなあ」とつぶやきながら、土ぼこりを払っている。

 上越警部は、笑いながら握手を求めてきた。

「いやいや、謝ることはないよ。『父さんの知り合い』というところをみると、はやみねさんの息子の琢人君かな? 確かに、速水の言い方は、考えてみればおかしかった。犯罪者をいつも相手にしていると、常識が狂ってしまうのかもしれない。それに、煙草の吸殻を捨てたということでは、私も同罪だね。これからは気をつけるよ。そして、これからよろしく」

「はい! こちらこそ、よろしくお願いします!」

 服装を整えて、速水警部補もやってきた。

「さっきはすいませんでした」

「いやいや、大したものだ。速水です。よろしく」

 右手を差し出してきたので、握手をしたら、この人ったら、思いっきり力を入れてくるよ! 痛っ! さては仕返しのつもりだな!

 右手をつかまれたままの僕は、警部補の両足の間に滑りこんで、まず股間を蹴り上げた。警部補は、うめいて体を折り曲げてきたので、巴投げの要領で投げ飛ばした。どさっ、という音がして、更に低いうめき声が響いてきた。

 あっ! いけない、またやっちゃったよ・・・

「ごめんなさい! 大丈夫ですか?」

 上越警部は、大笑いしている。

「琢人君、すごいね。速水は、警視庁でも屈指の捕り物名人で、柔道大会でも上位の常連なんだ。油断していたとはいえ、それを手玉にとってしまうとはねえ。大きくなったら、警視庁に入らないかい?」

「いえ、僕がなりたいのは、名探偵ですから、遠慮させていただきます」

「そうか、名探偵はいいけれど、夢水さんのようにはならないでくれよ」

「もちろんです」

 と、笑っていたとき、気配が背後から忍び寄ってきたことに気づいた。まずい、と思ったときは、もう既に遅かった。ぼくの上体は、完全に悪の化身に自由を奪われていたのだ。

「琢人君、何やってるの?」

 猫なで声のときが、一番怖い。

「み、美里さん・・・」

「琢人君、また喧嘩しているの? こういう、弱そうな大人を相手にしてちゃ、駄目だって教えているのに」

 上越警部は苦笑している。まあ、警視庁の猛者をやっつけたぼくを(頼んでもいないのに)鍛えてくれているのは美里さんだから、こう言われても仕方ないんだけどね。

「美里さん、その人たち、刑事さんだよ」

 えっ、と一瞬絶句して、ぼくを解放すると、美里さんはお辞儀をした。

「警視庁の上越警部です。それから、そこに倒れているのは、速水警部補」

「大変失礼なことを申しまして、なんとお詫びしてよいやら・・・」

 妙にしおらしのは、結婚してからの変化だろうか。

「それじゃ、改めまして。勇嶺琢人、中学2年生です。こちらは、中村美里さん。父さんの友達の、中村店長さんの奥さんで、ぼくの格闘の師匠です」

「琢人君、なんか言った? 美奈湖にいいつけるわよ」

「う・・・」

 美里さんは、都合の悪い話が出てくると、いつもこの脅し文句を使う。あることないことならぬ、ないことないことを、美奈湖さんに告げ口する。それに美奈湖さんは、真実の粉をまぶした嘘が得意だ。まず、すべてを嘘で固めて、本当のことは粉々にして、表面に振りかける。そうしてできた嘘は真に迫っていて、自分のことで嘘をつかれているのに、その嘘を聞いているうち、なんだかぼくの記憶のほうが間違っているような気がしてくるほどなんだ。コワイよぉ。

 上越警部は高笑いして、

「そういえば、さっき、中村さんは、琢人君に、『こういう、弱そうな大人を相手にしてちゃ、だめだって教えている』とおっしゃってましたなあ。なにより、その琢人君をあっという間に捕まえてしまう手際は、師匠と呼ぶにふさわしいですな」

「まあ、どうしましょう・・・」

 真っ赤になって警部から目をそらした美里さんの視線は、ぼくに向けられていた。そんなコワイ目で見ないで・・・

 その様子をにやにや見ていた速水さんが、ようやく助け舟を出してくれた。

「それじゃ、何はともあれ、話を聞かせてもらいたいんだけどな」

「え? ぼ、ぼくに御用なんですか?」

 てっきり、父さんか、教授のところだと思ったのに。

「あれだよ、あれ」

 上越警部は、さっきまで立っていた電信柱のてっぺんを指差した。

「ああ、あの電信柱のてっぺんについている、歯型のことですか」


◆ 発見者の謎

 ぼくの家は、普通の住宅があるところにあるんだけれど、なんとすぐそばに、ラブホテルがあるんだ。もちろん、ラブホテルじゃなくて、昔からの和風の安宿なんだけれど、なんでも「外から覗かれやすい」ということが評判になって、廃れるかと思いきや、かえってマニアな利用者が増えてきたんだ。そうなると、安宿として利用する人は敬遠するようになって、今では、ほとんどラブホテルと化している(さっき、変な人もこの辺りに来る、それは場所柄仕方がないというのは、このことなんだ)。

 そして、もちろんこの安宿のすぐそばにも、コンクリートの電柱がたっているんだけれど、なんと、この電柱のてっぺんには、人間のものらしい歯型がついているだ。

「でも、どうしてあの歯型が問題になるんですか? それに、なんでぼくに話を聞こうとするんですか?」

 事情を説明してくれたのは、速水さんだ。

「昨日、あの電信柱から落っこちた男がいることは知っているかな?」

「あのパトカーのサイレンは、それだったんですか」

「で、てっきり覗きだろうと尋問していたら・・・」

 それから、速水さんが、事情聴取の様子を説明してくれた。

 * * *

「なんだと、この覗き野郎! ふざけたことぬかすと、許さんぞコラ!」

 速水警部補の怒声が、取調室に響いた。こだました、というのが適切かもしれない。椅子の上に正座して、被疑者が震えているのは、警部補にびびっているためだろうが、机の上の電気スタンドがわずかに震えた原因は、速水の声以外に考えられない。

「そんな、ほんとのことなんですから・・・」

 消え入りそうな声の抗議も、すぐに速水の怒声にかき消された。

「なんだとコラ!」

 椅子の上で正座していた男は、飛びあがった。端正な顔立ちで、着ているスーツのセンスも良い好青年が、椅子の上に正座し、しかも震えているという図は、いかにも漫画的である。

「もう一度訊く! 名前は? 住所は? 職業は?」

「K談社で編集をやっている、O田です。住所は・・・」

「馬鹿もーん!」

 速水は両手で机を叩いて立ち上がった。机の上の電気スタンドが、10cm飛び上がった。O田は、椅子の上で、正座をしたまま、5cm飛び上がった。

「K談社だと! 見え透いた嘘をつくんじゃなーいっ!」

「・・・・・・」

 本当のことを言っているのに、なぜ信じてもらえないんだ。うなだれて返事をしないO田の様子を見て、ため息をついた速水は、今度は質問の鉾先を変えた。

「まあ、後で調べれば分かることだ。それじゃ、なんで覗きなんてしたんだ? 貴様、よく見ればいい男じゃないか。女なんて、いくらでもできるだろうに。それに、編集がいくら忙しいっていっても、S英社にはC塚とかいう美人の編集者もいるし、伊藤真理とかいうライターもいるだろうし、女っ気のない仕事でもないだろうが。わざわざ覗きでもなかろうに。単なる変態趣味か?」

 なぜC塚さんや伊藤さんのことを知っているのか不思議だったが、O田は怖かったので、突っ込むことなく、質問に答えるだけにした。

「違うんです。ぼくは、ただ、電柱のてっぺんについている歯型を確認するために・・・」

 しかし、これはかえって逆効果になった。

「この大馬鹿もんが! 嘘をつくなら、もっと上手な嘘をつかんかい! コンクリートの電信柱に歯型がついているっていう話を信じろというのも無茶なら、その歯型を誰が発見したっていうんだ? 無駄骨を折らせて、時間稼ぎをするなら、もっと気の利いた嘘にしろ!」

「琢人君から聞いたんです・・・」

 O田は、本当のことを、素直に話した。しかし、その内容は、かえって速水を怒らせた。

「他人のせいにするのか? ふてえ奴だ!」

「ほんとなんです、中学生の勇嶺琢人君から・・・」

 左手でO田のネクタイの結び目をつかむや、速水はぐいと引き寄せた。

「貴様、本当に根性の腐った奴だな。覗きを中学生のせいにするとは・・・」

 殴られる、という思いが、O田の声に必死さを加えていた。

「だ、だ、だから、ほんとうなんですって! 江戸川乱歩の再来、はやみねかおるさんのところに、原稿を取りに行ったんです。で、そのときに、はややみねさんの息子の琢人君に聞いたんです!」

「はやみねかおる?」

 速水は、聞き覚えのある名前に、バックスイングした右手の動きを止めた。そして、太田を放すと、取調室をそそくさと出ていった。

 やがて、見覚えのある上越警部が、速水とともに現れたとき、O田は安堵の余り、失神した。

 * * *

「というわけなんだ」

 速水さんが、おおよその事情を話してくれた。

「それでね、まず確かめたいのは、K談社の、O田とかいう奴を、琢人君が知っているかどうか」

「ええ、知ってますよ。間違いなく、父さんの担当の編集者さんです」

 うーん、と速水さんは唸ってしまった。

「次に確かめたいことは、あの電信柱に、歯型がついているということを、琢人君がその編集者に教えたということも、本当かどうかということなんだけれど」

「それも本当です。1ヶ月前、O田さんは、父さんの原稿の打ち合わせで、うちに電話をしてきたとき、ぼくが電話を受けたんです。そのとき、ぼくが、あの歯形のことを教えてあげたんです。O田さんは、『必ず現場を確かめに行く』と言ってました」

 はっと気がついたときは遅かった。美里さんは、ぼくの背後に回り、チョーク・スリーパーの態勢に入った。ぼくも、ちょっとは格闘技の心得があるから、分かる。この状態で、美里さんに締められたら、5秒でぼくは失神してしまう。

「ちょっと、琢人君、なんでそんな歯型を見つけたの? まさか、のぞきのために電信柱にのぼって、そのときに見つけた、なんていうんじゃないでしょうね?」

 美里さんの左腕に、ほんのちょっと、力が入った。もう駄目だ。左手でタップをして、ギブアップの意思表示をすると、ようやく美里さんはぼくを解放してくれた。つい、へたり込んでしまった。相変わらず、美里さんは強い。いや、店長さんと結婚してからというもの、美里さんの強さは尋常なものではなくなった。

「美里さん、なんでそんなに強くなったんですか? なんとか美里さんの攻撃をかわすところまでは、ぼくも成長できたはずなんですけど・・・」

 美里さんは、ぱたぱたっとまばたきをすると、ピースサインを出して、

「愛の力ね」

 噴き出しそうになったけれど、噴き出した後のことを考えると、背筋に冷たいものが流れた。

 上越警部も、不思議そうに、

「我々も、あんなところに歯型があるなんて信じられなかったけれど、それ以上に、誰が、どうして見つけたのかが分からなかったんだ。だから、速水もO田さんの言うことを信じられなかった、というわけなんだけれどね。どうやって見つけたのかい?」

 ほっと一息ついて、

「あの歯型は、半年くらい前かな、ぼくが見つけたものなんです。いや、正確に言うと、妹の美葉が見つけたんです」

 ちょっと長くなるけど、我慢して聞いてね。

 * * *

 半年くらい前、庭で、ぼくと美葉は、星を見ていたんです。美里さんが、結婚記念ということで、双眼鏡をプレゼントしてくれたものだから、ぼくが双眼鏡を、美葉が母さんから借りたオペラグラスをもって、月や星団、星雲なんかを見ていました。

 すると、美葉が、突然、

「お兄ちゃん、お兄ちゃん、土星だよ!」

 と言い出したんです。

「美葉、土星が見えるわけないじゃないか」

「だって、だって、見えるんだよ、ほら、あっちの方向に!」

 右手のオペラグラスを離さず、左手で一生懸命指差しているんです。それで、その方向を肉眼で見てみると、すぐに美葉の勘違いに気がつきました。

「美葉、土星のわっかのように見える黒い線があるよね」

「うん、ちゃんと見えるよ! すごい凄い!」

「その線に沿って、ゆっくり左のほうに、オペラグラスを動かしてごらん」

「うん・・・ あれっ?」

 おかしなことに気づいた美葉は、オペラグラスを通したり、外したりして、様子を確認していました。

「美葉が土星だと思ったのは、ガイシっていうんだ。ぼくも詳しいことは知らないけれど、電線にくっついているものなんだよ」

「ふーん・・・」

 土星だと思ったものがガイシだと分かって、美葉はがっかりしたようでしたけど、まだ諦めきれないようで、ずっとガイシと電柱のあたりを見比べている。しばらくして、小さなため息をつくと、美葉はぼくに尋ねてきました。

「お兄ちゃん、でも、なんですぐ私の間違いに気がついたの?」

「あははは。お兄ちゃんも、母さんのオペラグラスで星を見ていて、間違ったことがあるからさ。小学生の頃、『土星が見えるっ!』って大騒ぎしていたら、父さんに間違いを指摘されたことがあるんだ」

「そうかぁ」

 なんだか、美葉は嬉しそうでした。

「じゃあ、お兄ちゃん、あの電信柱のてっぺんについている歯型はなあに?」

「は・が・た?」

 そのことに全然気がつかなかったぼくは、あわてて双眼鏡で電信柱のてっぺんを見てみました。慌てているものだから、ピントをあわせるのに苦労しちゃって。それで、見てみると、確かに何かが噛みついた跡のような、歯型がついていたんです。

「と、父さ〜んっ!」

 夜中だというのに、大声を張り上げて、家の中に駆けこみました。 

「なんだ、真夜中に、少しはご近所の迷惑も考えて、静かにしないか」 

 父さんは、こういうことには煩いんです。

「で、でも、げ、原稿のネタが見つかったんだよ〜っ! は、早く、そ、外に出てみて!」 

「なんだってっ!」

 父さんは、すっくと立ちあがると、裸足で庭に出ていって、美葉の説明をもどかしげに聞き終え、オペラグラスで歯型を確認すると、その場に座り込んで腕組みをし、うーんと唸ったきり、しばらく動かなくなりました・・・ 


「電信柱についた歯型の謎・第二部 歯型の謎」
へ続く★

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